3.萩焼の酒器で日本酒を楽しむ
先に書いたように、私のメインの酒は焼酎のロックです。しかし秋が深まり、ひんやりとした空気が流れ始めると、日本酒の熱燗が恋しくなります。
なべ、おでんなど、この時期は徐々に日本酒が台頭しはじめ、焼酎と肩を並べるようになります。
選んだのは七代岡田仙舟作の萩焼の酒器です。 萩焼らしい優しい色合いながら、白く線を引く釉の流れ痕や、ざっくりとした土味が味わえる個性的なうつわです。
日本酒党にとって、萩焼の酒器は特別な存在と言ってよいでしょう。使うほどに酒を吸い込み、味わいを増していきます。
貫入などに染み渡り色合いに変化が出てきます。「うつわを育てる」と表現する人もいますが、なるほど言い得て妙です。
肴の盛皿には、秋に相応しい朴葉の受皿を合わせてみました。
渋紙に天然の朴の木の葉を表裏に貼り合せ、そこに紅葉を配した趣のあるお皿です。
香の物などちょっと盛り付けると、ぐっと豊にお酒を楽しむことが出来そうです。
自然素材のものには、どこか気持ちを安らかにさせる力があります。
世の奥様方も、ご主人の晩酌の際、朴葉皿に酒の肴を盛り付けて、さり気無く出してみてください。きっと優しい時間に包まれることでしょう。
正統的萩焼に対して、遊び心を持った可愛らしい酒器は、名古屋の陶芸家小崎陽一作。
紅葉文様が施された徳利と盃は、ほのかな色合いの変化も楽しく、盃の中には紅葉の葉が泳いでいます。
ロクロ目を残した井手達も魅力一杯で、磁器にはないやきものの温もりを感じさせてくれるうつわです。
蒼釉がだらりと流れ落ち、どっしりと厚みのある、角小鉢には塩辛、数の子などあしらってみては如何でしょうか?
塩味の強い肴を口に放り込み、直後に超辛口の日本酒を流し込む・・・たまりません。
有田焼のおもしろい形の珍味揃が入荷してきたので、ご紹介します。形代わりの5種類の組合せで、金彩をふんだんに使用したうつわです。おめでたい席にも活躍しそうです。
(記 07/10/8)
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